医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

在宅医療

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    尾形医院院長 尾形新一郎

    在宅医療とは、一言で言えば患者さんの住んでいる家、つまり在宅(居宅)で、医療サービスを行うことです。
     医師が患者さんから依頼されて診療に出向くことを一般に「往診」と言いますが、これは急に具合が悪くなった患者さんに対応したものです。一方、慢性疾患の患者さんで、例えば寝たきりなどの状態で医療機関を受診できない場合には医師と患家との間で治療や看護の方針を立てて、定期的な「訪問診療」を行います。
     この「訪問診療」は、一九九二年の医療法改正により、医療提供の理念が明確化され「居宅を医療の現場」と位置づけたことによって始まります。そして、老人保健法の一部改正によって老人訪問看護制度が創設され、さらに健康保険法の一部改正によって訪問看護制度が創設されます。
     そうして、高齢者だけでなく一般医療の対象患者にも訪問看護を実施できるようになりました。居宅(在宅)を医療の場と位置づけて具体的なサービスを実施する体制が整ったといえます。
     その後、在宅医療に関してより多様な医療サービスの提供が可能になり、二〇〇〇年からは二十一世紀の高齢化社会の到来に対応して介護保険法が実施され、在宅(医療)ケアが体系化されました。
     これにより、歯を磨いたり、衣服を着たりするといった日常の生活で行われる動作(ADLといいます)が低下し、外来通院が困難な高齢者には介護保険制度による在宅ケアが、医療の必要な在宅利用者には在宅医療サービスが可能となりました。
     在宅ケアは、かかりつけ医を中心とした保健師などの医療サービス提供者、ケアマネジャーを中心とした介護サービス提供者など多職種により行われます。そのため、相互の役割分担、連絡調整が重要となります。
     また、居宅における医療、介護への安心、安全を担保するためには、地域内でかかりつけ医と病院などが二十四時間のチーム医療体制を組む必要があります。さらに、かかりつけ医も介護保険の在宅ケアへ積極的にかかわりを持ち、在宅における医療と介護の連携をはからなければなりません。
     関係者のチームケアによるこのような在宅ケアは、患者さんの病状が急に悪くなったときでも自宅での適切な対応を可能にし、緊急入院を少なくすることなどが期待されます。
     先ごろ、厚労省は在宅医療をより推進して、在宅死を現在の二割から四割にする方針を発表しました。国は、自宅での診療を希望する患者さんや家族が、安心して在宅医療を受けられる医療や介護体制をさらに整備する必要があると思います。


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