医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第23回「入れ歯の方も口腔ケアは大切です」

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     塩野歯科医院院長 塩野正幸(さくら市)

     自分の歯で何でもよく噛むことができ、何でも美味しく食べるための口腔ケアの重要性が広く知られるようになりました。この口腔ケアの代表格はなんと言っても「歯磨き」です。歯磨きでは、歯ブラシで口の中をきれいにする、すなわち口の中を「除菌」しています。口の主な病気は、虫歯、歯周病そして口臭がありますが、この原因のすべてに口の中の細菌が関与しています。そしてさらに口の中の細菌は、高齢者になると増加し、誤嚥性肺炎の原因にもなります。歯磨きは毎日の食生活を快適にするためだけではなく、肺炎予防という全身の健康を守ることにもつながる大切な日常生活習慣なのです。

     高齢になると入れ歯を入れる方が増えてきます。入れ歯は夜、寝る前に外し、きれいに洗って、コップなどの水に浸してお休みになるのがよいとされています。さて、入れ歯はきれいにしましたが、肝心のお口の中のケアはどうされてますか。うがいだけで済ませてはいませんか。

     入れ歯と接する粘膜面(顎の土手)は、食べ物のカスなどが溜まっていることがあります。でも、汚れはそれだけでしょうか。丸一日使っていた上あごの入れ歯の内側を調べたところ、びっしりと菌がいることがわかりました。その菌の多くは「カンジダ」というカビの一種でした。ほとんどのカンジダは水虫の原因と同じ種類ですが、中には洗面台の排水口の周囲からよく見つかるものと同じ種類のものも検出されました。これは、同様に検査した入れ歯すべてに共通でした。夜寝る前の入れ歯自体の清掃は勿論ですが、入れ歯を入れていた口の中のケアも同様に大切であることがわかります。口の中のケアの方法は、通常は水を浸したガーゼか柔らかい布で、口の中を拭い、その後よくうがいをしますが、より効果的なケアを行うためにも是非かかりつけの歯科医院にご相談下さい。

     きれいな口ときれいな入れ歯で元気で爽やかな毎日をお過ごし下さい。 

     

     

     



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