医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第19回「ACP(アドバンス・ケア・プラニング)」

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     塩谷郡市医師会副会長 阿久津医院 阿久津博美(高根沢町)

     最近は、終末期医療や人生の終焉について考える機会が増え、最後は何もしないで欲しい、人工呼吸器はつけないで欲しい、最後は自宅で迎えたいなど家族で話をする機会が増えているようです。

     昨日まで健康だった家族が突然倒れたとしたら、誰もが救急車を呼ぶでしょう。しかし病気や高齢などの理由で余命があまり長くないとしたら、その方は救急隊による心臓マッサージや救急病院での救命処置・延命治療は望んでいないかもしれません。本人の希望に沿った生き方で最後を迎えさせてあげたいものです。この本人の希望を尊重した医療や介護を実現するために必要な事がACP(アドバンス・ケア・プラニング)です。

     人が最後を迎える時は、会話が出来なくなり判断力を失い意識がなくなり自分の希望を伝えられなくなりますから、その前に準備しておく必要があります。しかし遺言書を金庫にしまうように自分だけが納得してエンディングノートに書いただけでは周囲の人は理解できませんし、家族の争いになりかねません。係わるすべての人たち(家族、医療・介護職などの多職種チーム)に希望を伝え理解と共感を得ていく過程が必要です。それは何度も何度も話し合うことに他なりません。

     一方で、人の気持ちは常に揺れ動きます。やっぱり最後は病院に入院したいと思うこともあります。一度決めたことに縛られる必要はありません。今の自分の気持ちに正直でいいので、そのことを家族と多職種チームに伝えてください。不安になったならまた繰り返し話し合うことです。話し合う過程でその人の考えや人生感などを共有することが出来ますので、あらかじめ準備しておけば、もし突然意識が無くなっても多職種チームが本人の意思を尊重し尊厳ある最後を実現してくれるでしょう。ACPは本人と家族、多職種チームが繰り返し話し合い、その人らしい人生の最後を迎えるための重要なプロセスなのです。



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