医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第17回「脳卒中と在宅医療」

0

     岡医院 院長 岡 一雄(さくら市)

     昨年12月衆議院で「脳卒中・心臓病対策基本法」が成立しました。この法律は日本人に多い脳卒中や心筋梗塞などの病気の予防と早期発見・早期治療することを目的としており、ようやく国も脳卒中対策に本腰で取り組むことになりました。

     脳卒中は、脳の血管が詰まったり、破れたりして脳の組織が損傷してしまう命に関わる重い病気です。仮に命が助かっても半身まひなどの身体的な障害が残ったり、言葉が出にくくなって周囲とコミュニケーションも取りづらくなったりします。また、寝たきりなど重い障害を抱えて病院や自宅で過ごさなければならない場合もあります。

     脳卒中の方が在宅でより快適につつがなく過ごしてもらうためには、在宅医療を担当する医師だけでなく、歯科医師、訪問看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、栄養士、ケアマネージャーなど、医療から介護・福祉に及ぶ多職種の連携が重要です。

     食べ物の飲込みが悪くなるために、食べ物が肺に入り誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。それを防止するために歯科医に相談して口腔ケアや嚥下訓練をしたり、栄養士のアドバイスをもとに食べ物を刻んだり、トロミをつけたりします。薬剤師に相談してより飲み込みやすい薬剤に変更してもらう場合もあります。また、座ったり立ったり、歩いたりする機能が低下するのを防ぐために理学療法士によるリハビリを継続する必要があります。私が訪問診療している方は、退院時は起き上るのがやっとだったのが在宅でのリハビリを行うことで杖を使って散歩できるようになりました。医師が月1回の訪問診療をするスケジュールの時は、それ以外の週に訪問看護師に訪問してもらうことで、患者さんや家族の状態をより切れ目なく把握することができます。

     脳卒中の方の在宅医療は長期にわたることも多く、急に具合が悪くなることもあるため、家族の方の心労や苦労も大変ですが、このように多職種が関わることで患者さんと家族の負担を減らすことができるのです。



    categories

    selected entries

    archives

    search this site.

    others