医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第14回「認知症と運転免許」

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     佐藤病院 院長 佐藤勇人(矢板市)

     誰でも老いは来ます。脳も例外ではありません。最も多くみられる認知症のアルツハイマー型認知症とはどのような病気かというと、脳の老廃物である「βアミロイド」と「タウ蛋白」が蓄積する事で脳機能が落ちると言われています。髪の毛が抜けたり、肌にしわができるのと同じように、脳も衰えてくるのです。一部の例外を除いては、80〜90代になれば認知能力は低下してきます。問題はそれを素直に受け入れられるかどうかです。

     佐藤病院は昨年12月、栃木県から認知症疾患医療センターの指定を受け、開設、運営をしています。一年間の運営を経て現在一番困っているのが、認知症患者さんの運転免許の問題です。平成29年3月に道路交通法が改正され、75才以上の免許更新時と交通違反をした時に認知機能検査が義務づけられ、一定の点数以下は専門医療機関の受診が必要となっております。そこで、「認知症」と診断されると免許は失効となります。

     私たちは、認知症と診断された方には、免許の返納を勧めます。「返納」と「失効」では、行政その他から受け入れられるサービスが違ってきます。返納ならば、「運転経歴証明書」という一生使える身分証明書の発行も可能です。しかし「返納」に同意できない方もいらっしゃいます。自分の運転に自信を持っている方や職業ドライバーであった方々は、なかなか同意してくれせん。家族は本人の運転を危ないと思っているケースがほとんどであり、医師と家族で説得しますが、難儀することが増えています。

     「老い」を受け入れる事は難しいことですが、小学生の列に突っ込んでしまってからでは遅いのです。最近の新聞記事で、老人の事故、特に高速道路の逆走などの記事は月に必ず数件はみかけます。そうなると、自分だけでなく家族にも波及する事を考えてもらいたい。事故は身近で起きているのです。「自分だけは」は危険です。



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