医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第10回 ご存知ですか?介護保険の話

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     高根沢町健康福祉課 豊福尚子

     介護が必要な状態になっても家族で何とかしようと頑張っている方がいます。家族の介護力が本人を支え、生活の励みになることは勿論ですが、介護を抱え込んでしまった末、介護者の生活が犠牲になり、健康状態まで害してしまうことがあります。

     私が体験した例です。ご主人がうつ病で何年も引きこもり食欲もなく、一日中カーテンを閉め切って寝たきりの生活をしていたため、奥様が相談にきました。介護保険の申請をきっかけに病院を受診し内服開始となりました。担当ケアマネジャーの計らいで、本人にあったデイサービスを利用することになり、生活意欲が出てきてデイサービスを楽しみに自分から早起きし、食事も自らするようになりました。自分から部屋のカーテンと窓を開け「気持ちいいね」とこれまで長年みたこともないような生き生きと笑顔で話しかけてくれたときにはとても嬉しかったと奥様が喜んでいました。奥様自身の生活にも張りが出てきたとの報告を受け私自身も同じように嬉しく感じました。

     また、反対に「他人の世話にはなりたくない」と生活に困っても誰にも頼らず、本人自身が頑張ってどこにも相談しない方もいました。家の中が乱れ不衛生な状態となり、病気を引き起こす環境に至ってしまいました。結局は介護が必要な重い状態になり、救急搬送となりました。本人曰く、「こんなにひどい状態になった自分を人様にみられるのは嫌だった」と家の中で動けない状態で苦しんでいました。現在は介護老人福祉施設に入所され体操を日課に穏やかに過ごしています。

     介護保険は、介護が必要な状態になってもいつまでも安心して暮らせるようにするための制度です。生活に困りごとが出てきたら地域包括支援センターや介護保険担当課へお声かけください。

     年齢を重ねても自分の身体と向き合い、元気に過ごせるためには、自分自身のこころとからだが健康であることがポイントです。テレビ、インターネットなど様々な情報が氾濫していてどれを信じていいものか惑わされますが、地域で実施している介護予防教室等に参加すると専門職から正しい情報が得られ、また地域の方々と交流することで、心身に刺激を与え要介護状態となることを防ぐことができます。

     地域によっては、気軽にお茶飲み、趣味を楽しむことができる「居場所」を開設しています。参加するだけでなく、居場所を運営する担い手として活躍するのも生きがいづくりとして良い効果があります。ぜひ地域の活動に参加されることをお勧めします。



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