医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第2回 家で死ぬのはわがまま?

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    塩谷郡市医師会会長 岡 一雄(さくら市)

     訪問看護師として長年在宅医療に関わっている宮崎和加子さんの著書に『家で死ぬのはわがままですか』という題名の本があります。「わがまま」という言葉に象徴されるように現代社会では家で亡くなるのは大変なことです。核家族化や共働きの家庭が多いため、家で病人を看ることは家族にとって大きな負担になるのです。

     高齢者は高血圧や糖尿病などの慢性疾患を持つことが多く、継続的な医療が必要です。自分自身で通院できたり、家族が通院に付き添うことができれば問題ありませんが、足腰が弱くなったり、認知症などで通院できない場合は入院するか、在宅医療を選択することになります。在宅医療とは、医師や看護師などの医療従事者が病気の人の自宅や入所している施設を訪問して診療を行うことです。以前は、医師が行う在宅医療はすべて往診と呼ばれていましたが、現在で定期的に行われる訪問診療と、具合が悪い時に臨時で行う往診を区別しています。

     ひと昔前は盛んに行われていた往診ですが、交通手段の発達で医療機関へのアクセスも容易になり、病気の人は自ら医療機関を受診するのが当たり前となりました。その結果、往診は減少し、在宅医療の経験のない医師が多数派になったのです。

     最近、その傾向が変わってきています。在宅医療を希望する患者さんが増え、従来は制度上認められなかった在宅医療専門の診療所が開設されるようになりました。外来診療の合間に在宅医療に取り組む医療機関も少しずつ増えています。医師、歯科医師、訪問看護師、訪問薬剤師など多職種の医療スタッフが連携してチームを作ることで、在宅でもより高度な医療を提供できるようになりました。     さらに医療と介護が連携することで家族の負担も軽減することができます。「家で死ぬのはわがままではない」時代が、訪れようとしています。



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