医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第1回 我が家で亡くなるということ

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    塩谷郡市医師会会長 岡 一雄(さくら市)

     厚生労働省の人口動態統計によると、今から六十年ほど前の1950年代は大部分の方が自宅で最期を迎えていましたが、その後病院で亡くなる方が徐々に増え、1970年代後半に逆転、今では自宅で亡くなる方は1割程度で、8割の方は病院で亡くなっています。国民皆保険が実施され、所得水準も上がり、国民が等しく医療を受けることができるようになり、医学の進歩により心筋梗塞や脳卒中などの病気も入院加療が可能になりました。その結果、病院に入院すればどんな病気でも治り、延命できるという病院信仰が生まれ、最後の死に場所は病院へと代わってきたのです。一方、病院での高度先進医療が必ずしも高齢者に安らかな最期の時を保証してくれるわけではありません。

     7月に105歳で亡くなられた日野原重明先生は生前「よく生き、よく老い、よく病み、よく死ぬ」という生き方を説きましたが、最期は、長く院長を務めた聖路加病院ではなく、自宅で家族に見守られながら息を引き取りました。

     さくら市が65歳以上の高齢者2500人を対象に行ったアンケートによると、人生の最期をどこで過ごしたいかという質問に対し、7割の方は自宅、または自宅で療養して必要になれば医療機関に入院したいと答えました。一方、最初から医療機関を選んだ方は1割しかいませんでした。現状とは異なり、実際は多くの方が自宅での最期を望んでいます。

     現在日本の65歳以上の高齢者の割合は26.7%で、この割合は今後さらに高くなります。国は、高齢者が住み慣れた地域社会で自分らしく最期まで暮らせるかどうかをそれぞれの市町村の取り組みに任せています。今回から、リレーコラムは「在宅医療」をキーワードに医師会と行政が協働で取り組んでいる医療と介護の連携、在宅医療の推進について取り上げます。ぜひ自分自身と地域の問題として読んでいただき、ご意見をいただけたらと思います。 



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