医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第13回 ママ、赤ちゃんを見て

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     植木医院 院長 植木 雅人(塩谷町)

     よく赤ちゃんの健診の場で「見えていますか」と聞かれることがあります。これは視力の話ではなく、「ママの顔がわかっていますか」という意味だと思っています。

    最近の様々な心理学実験から、赤ちゃんがママの顔を認識する驚くべき能力がわかってきました。生後3ヶ月頃までの赤ちゃんは視力や解像度が悪く、ママの顔の認識は髪型で憶えるようです。そのため髪を切ってイメチェンしたり、メガネをかけたりした時には、ママとわからずにぐずることもあるようです。さらに動きがないと形を認識することができないこともわかりました。生後5ヶ月頃までの赤ちゃんの顔の認識では、横顔は「顔」として認識できません。脳の活動を調べる検査でわかったことですが、ママの顔を正面から見ると脳の活発な活動の反応がありますが、横顔はいくら見てもその反応は見られず「顔」と認識できていません。それからもう一つわかったことがあります、それは視線です。顔は動きますが、視線がずっとこちらを向いている場合と視線をそらしている場合では、赤ちゃんの脳の活動が違います。視線をそらしている顔には、脳は反応していないことがわかりました。

     つまり、月齢の低い赤ちゃんほど、ママの顔をちゃんと憶えて欲しいと思うのであれば、赤ちゃんの顔を正面から見て、視線つまり目と目を合わせ、そして笑い顔など顔に表情をつくりながら赤ちゃんに話しかけることが大切です。テレビを見ながら、携帯やスマホを見ながらの子育てであれば、顔は横を向いているし、赤ちゃんと目と目を合わせていません。これではいつまでたっても赤ちゃんはママのことを憶えられないし、憶えてくれないでしょう。時には忙しい手を休めて、赤ちゃんの顔をそっと見つめてあげて下さい。パパやママの顔を憶えるだけでなく、心の会話ができるのではないでしょうか。



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