医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第10回 みにくくないアヒルの子

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    植木医院 院長 植木雅人(塩谷町)       

     みにくいアヒルの子という童話を知っていますか。アヒルの雛の中で一羽だけ違う色の子がいて、みんなからいじめられて、けれど春になってそのアヒルの子は水に映った自分の姿を見て驚きました、白鳥になっていたのです。白鳥の雛はグレイで、黄色いアヒルの雛のように可愛げがないです。だから黄色い雛の中にグレイの変な雛がいて、「何だこいつは」と思っていたら、大人になったら白鳥だったという。

     この童話の中から私たちが学ぶことは、アヒルの雛にしては変な奴だと思って育てるのではなく、最初から白鳥の雛だと思って育てていたら違っていたのではということです。つまりアヒルの雛だと思うから、なんで黄色くないのだろうとか、羽が抜け替わる時期が違うのだとか、いちいちアヒルを物差しとして考えるから変だったので、本人も悩むし親も悩むわけです。だけど、はじめから白鳥だとわかっていたら、他の雛と色が違うけれど白鳥の子だから大丈夫、他の雛と違う時期に羽が抜け替わるけど、白鳥としては標準だと思えばいい。実は発達障害といわれる子の成長過程の中で、一番大切な点はここではないかと思います。なぜかというと、アヒルと白鳥の関係のように種が違うからです。発達障害はどちらかというと少数派かもしれません。だから育てている感覚、育て方のプロセスが違って当たり前だと思います。

     今の育児書は、だいたい多数派の人たちが統計上このくらいの時期にこうゆうことをしますよ、というデータに基づいた理論ですから、一部の少数派は違うわけです。ただひとつ言えるのは、他の人たちと比べてさせるのではなく、今この子が身に着けそうなことは何かということに注目をして、他の人とは道筋は違うけれど、結果的にはその人が自然に身に着つくような支援を続けていくことが大切だと思います。

     ある朝、気がついたら白鳥になっていた、素晴らしいことだと思いませんか。



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