医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第9回 食物アレルギーについて

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    おのこどもクリニック 院長 小野三佳(さくら市)

     年々食物アレルギーへの関心が高くなっており、外来でご相談を受ける機会も多くなっています。過剰に不安にならず、正しく理解して適切な判断をすることが大切です。

     食物アレルギーにはいくつかの病型がありますが、今回は一番多い即時型食物アレルギーについてお話しします。

     即時型食物アレルギーは、ほとんどが3歳までに発症し、その年代で一番多い原因は鶏卵、次いで乳、小麦です。年齢が上がると甲殻類やソバが上位に入ってきます。症状の多くは湿疹で、食べた直後から2時間以内に出現します。

     診断のための検査で、皆さんにお馴染みなのは血液検査でしょうか。血液検査は食物アレルギー診断の指標の一つです。数値が出たら食べられないわけではありませんし、同じ数値でも年齢によって症状の出る確率は変わります。確定診断とはいえませんが、安全で簡便な検査ですので、受ける意味は十分にあると考えます。

     では、最適な診断方法とはなんでしょう。現在では食物負荷試験とされています。しかし、疑わしい食物を食べることで重い症状を誘発する恐れもあるため、行っている病院は限られています。残念ながら食物アレルギーにはこれといった治療法はありません。唯一、経口免疫療法という「食べて治す」方法がありますが、リスクを伴うため一部の医療機関でしか行えず、まだ一般的とはいえません。通常は原因食物の適切な除去を行い、症状が出た際に抗ヒスタミン薬やステロイドの内服や点滴をします。小児期発症の食物アレルギーの多くは年齢が上がることで自然に「耐性」を獲得し、食べられるようになります。適切なタイミングを逃さないように、血液検査や負荷試験を繰り返し行うことが必要です。

     食物アレルギーで経過を診ていた保育園児の除去食を解除した際のことです。「僕ね、みんなと同じに食べたの!」と、うれしそうに報告してくれました。除去食を解除するのはご家族も保育園も勇気のいることだと思います。でも「念のため」と言い続けていたらあの笑顔には出会えません。たとえ食物アレルギーがあっても、必要最小限の除去食で、健やかに成長できるよう、自己判断せずに主治医とよく相談して下さい。



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