医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第8回 母乳で育てる

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    谷口医院 谷口洋子(高根沢町)

     母親になったほとんどの女性は我が子を母乳で育てたいと希望しています。母乳に含まれる栄養や免疫物質、母子間の愛着形成の促進など母乳が優れていることは広く一般に知られているからです。しかし、さまざまな要因があって母乳哺育を断念せざるを得ない場合もあります。母乳育児を成功させるためには、お母さんの努力だけでなく家族など周囲の協力と社会全体の理解が必要だからです。

    ユニセフとWHOにより「母乳育児成功のための10か条」として、分娩後30分以内に母乳を赤ちゃんに飲ませること、母子同室にして一日中赤ちゃんの欲しがるままに授乳をすること、母乳以外の水分や糖水やミルクなどを与えないことなどが発表されています。特に出産後1週間までに分泌される初乳は栄養の宝庫であり免疫にかかわる抗体などが多く含まれていますので、是非赤ちゃんに飲ませてほしいと思います。

     産後の母乳育児を実行するには、医療関係者の理解も必要です。また、母親自身が分娩後に疲れきっている状態では難しいと思いますから、妊娠中から産後に向けて体力を作っておくことも大切です。母乳の分泌はストレスによって低下することもあります。赤ちゃんの誕生で喜んでいる家族の方たちのお祝い事なども、母と子のゆったりタイムのペースを乱さないようにしてあげたいものです。

    また、母親の食生活は母乳に含まれる栄養素の量に影響します。母親が十分な良質の栄養を摂取することは自身の体を守り、赤ちゃんが元気に育つことにもつながります。

     仕事を持つ母親の場合、産休後に仕事に復帰しますと、日中に何度も母乳を吸わせることができなくなります。するとおっぱいに母乳がたまっている時間が増え、徐々に母乳が産生されなくなってしまいます。実は、私自身も産休明けに職場に隣接した保育園に子どもを預けて昼休みに授乳に通いましたが、授乳間隔があくに従いおっぱいが張らなくなってしまいました。母乳哺育を社会全体で支援するには、産後の育児休暇のとりやすさや頻回に授乳できる職場の理解なども必要だと思います。

     最後に、母乳で育てることができなかったお母さんにもあたたかい支援ができる家族や社会であってほしいと思います。完全母乳ができている方もそうでない方も幸せな育児をしていただきたいと思います。



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