医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第17回 緩和ケアと医療用麻薬

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    黒須病院 副院長 民上英俊(さくら市)
    ●緩和ケア
     「緩和ケア」という言葉に、どのようなイメージを持っていますか?「がん治療ができなくなった方への医療」「がんの終末期に受けるもの」と思っている方が多いようです。
     がんは、日本人の死因で最も多い病気です。現在、3人に1人ががんで亡くなっています。このように身近な病気になったがんは、誰でもかかる可能性があります。医療の技術進歩により外科手術、化学・免疫療法、放射線治療など様々な方法により余命を長期に延長、病気を克服する時代になりました。しかし、これまでは『がんを消滅させる』ことが中心の医療でありましたが、最近は『患者さんのつらさ』に焦点をあてる医療に変化しています。患者さんは、がん自体の症状のほかに、痛み、倦怠感などのさまざまな身体的な症状や、落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛を経験します。また、病気による仕事上・経済状態の苦痛(社会的苦痛)や死の恐怖、人生の意味などのスピリチュアルペイン(死生観に対する悩み)が出現し全人的苦痛(トータルペイン)といわれています。「緩和ケア」は、がんと診断された初期から行う、身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアです。患者さんと家族が自分らしく過ごせるように支えるには医師だけでは対応できません。病院では医師(身体科・精神科)、看護師以外にも薬剤師、栄養士、社会福祉士、リハビリ療法士などの専門職がチームを作り苦痛を取り除き希望をかなえるようにお手伝いをします。また、在宅での療養を希望する患者さんには積極的に訪問看護ステーション、ケアマネジャー、ヘルパーと連携を行い住み慣れた地域での療養ができるようにお手伝いをします。
    ●医療用麻薬
     日本での麻薬による疼痛コントロールの歴史は浅く1988年モルヒネ徐放剤(長時間作用)が発売されましたが、消費量は増えず他の先進国と格差が顕著となりました。その理由として社会全体での麻薬の誤解、恐れ、拒否感が強く、また、医療者の薬剤に対する教育も充分ではなかったためです。2001年以降、本邦では新規麻薬は30種類以上発売されています。その剤形も注射、内服、貼付剤、坐薬、舌下錠と患者さんの状態に合わせて使用することが可能となりました。また、医療者も厚生省・日本緩和医療学会が中心となり「緩和ケア」に対する再教育が行われており『いつでもどこでもだれでも』安心して治療を受けられる体制が構築されました。
      


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