医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第15回 口の中のがん

0
    西海歯科医院 歯科口腔外科 西海栄一 (さくら市)
     
     口腔(こうくう)癌は、癌全体の1〜3%を占めます。口腔癌に最も多いのが舌癌(60%)、その他には歯肉癌、頬粘膜癌、口底癌などの粘膜、顎の骨や唾液腺にも発症します。ここでは前癌病変(癌のまえぶれ)と口腔癌および超高齢者の口腔癌の三つに分けてお話します。
     前癌病変とは病理学的に扁平上皮癌の予備軍です。主に白板症(はくばんしょう)・扁平苔癬(へんぺいたいせん)などがありますが、これは癌ではありませんのでご安心下さい。しかし舌にできた白板症は癌になることが多いので早めに摘出します。また扁平苔癬の2〜3%は癌になります。癌になった時点で癌治療をすることになりますので、長期の経過観察が大切です。
     さて口腔癌ですが、高齢化に伴い70〜90歳代が増加傾向にあります。口腔癌は初期に見つかることは珍しく、癌が周囲組織に浸潤して腫瘤・潰瘍を形成し、それによる疼痛を伴ってから来院される方が多いです。その発癌因子として、喫煙・アルコールなどの化学的刺激、特に舌癌では歯の鋭縁や不適切な補綴物(入れ歯など)の慢性的な機械刺激など多種多様です。口腔癌と同時に併発する癌(重複癌)は消化管癌と肺癌であり約15%の発症率です。口腔癌の初診時の進行は、原発病巣あり・リンパ節の転移なしが50%です。
     一方、高齢者の口腔癌については、手術の予後に年齢的な差がなかったという報告があります。しかし身体的・精神的・社会経済的背景・家族構成には大きな個人差があります。特に超高齢者の場合、癌治療によっては身体活動の低下を招きます。また手術後は食事が摂りづらくなります。これらを勘案しますと、まずご家族および患者様のQOL(クオリティ オブ ライフ)を念頭に入れつつ治療方針を決定すべきだと、私は考えています。
     おわりに、口の中は見えますので「もう少し早く受診してくれたら」という思いがあります。歯肉・舌・頬粘膜などに白いものができたり、赤く脹らんだり、口内炎と思っていたけど、なかなか治らなかったりした場合には、早めに医療機関への受診をお勧めします。
     癌治療は日進月歩の時代です。現在、口腔の初期癌は100%に近い治癒率になってきました。ですから口腔癌は早めに受診すれば、十分な検査と適切な治療で治る病気なのです。


    categories

    selected entries

    archives

    search this site.

    others