医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第13回 甲状腺のがん

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    佐藤クリニック 院長 佐藤 泉(さくら市)
     
     1年間に見つかる甲状腺癌はすべての癌の1.5%程度で胃癌の10分1位です。女性に多く男性の約3倍で、年齢は50代、40代、30代の順に多い傾向です。今までに分かっている危険因子としては未成年時の大量被爆、肥満、ごく一部の癌では遺伝もあります。また、ヨードの摂りすぎや欠乏も指摘されています。
     甲状腺は、のどぼとけの左右にありますので、「首が腫れている」、「しこりがある」など、見た目で気づかれることが多いです。大きさの変化も数年かけて徐々に変化します。1、2カ月で大きくなる場合は悪性度が高いので検査を早めに受けて下さい。もっと早く数日で大きくなる場合はのう胞や出血が疑われます。首の違和感や物を飲み込む時の違和感を訴えて受診する方が多いのですが甲状腺とは関係ない事が多い様です。進行した癌の場合は呼吸がしづらい、声がかすれるなどの症状も出現しますので注意が必要です。
    主な検査は超音波で必要に応じてしこりに針を刺し細胞を吸引します(穿刺吸引細胞診)この2つの検査で甲状腺癌のかなりの部分は手術前に診断が可能です。CT、MRI、シンチグラフィーなどの検査もありますが、こちらはどのくらい進行しているか、転移がないかを調べる時に行います。
     治療は手術が主で一部の癌以外は抗癌剤は使われません。進行している場合や転移している場合には放射線治療が追加されます。大部分の癌は予後が良好です。甲状腺癌の治療方針で特徴的なのは、1cm以下の癌(微小癌と言います)についてです。今までは触診でしこりに気づく事が多かった為1cm以上の癌が多かったのですが超音波検査の普及で3mmの癌から発見されるようになりました。このような小さな癌に対して手術をせずに5年間経過を見た所70%以上で増大しなかったとの報告がされています。その結果を元に施設によっては十分に症例を検討してリスクが低い癌には直ちに手術をせず経過観察する所もあります。ただ、経過観察中に転移が出現したり、極まれに急激な進行がみられる事もあるので定期的にきちんと検査を受ける事が必要です。

     
     


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