医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第12回 乳がん

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    黒須病院 名誉院長 金澤 暁太郎(さくら市)

     乳癌と総称される疾患にはいろいろな種類のものがあり、各々に最適の治療法が確立されて来ています。専門医による適切な治療を受けることが必須ですが、早期発見が何よりも大切で、その為に定期検診を受けることが何よりも大切であります。本県は行政各位の御努力で、早期発見の為の集団検診に非常にカを入れて下さっていますので、是非、御自分の命を守るために受診されますことをお勧めいたします。
     乳癌早期発見の為には乳房撮影と超音波検診の2方法があります。ごく単純に申しますと、乳房撮影は、乳癌組織内に発生しやすい微細石灰化像の検出に優れ、超音波検査は大きな硬い乳腺組織内に潜む癌の腫瘤を検出するのに優れており、両者を併用することにより小さな癌の検出率を高めることができます。さらに、怪しい病変が見つかった場合には、その病変から細胞とか素麺の様に細い組織を採取して癌の確定診断を下すことが可能となり、5mm位の小病巣を確認して、乳房温存手術で安全確実に根治的治療が行えるようになって来ております。放射線療法、薬物療法も日進月歩の発展を示しており、真に心強い限りですが、それでも、癌になったということは大変なことですから、予防が何よりも大切です。
     乳癌の中には、少数ではありますが遺伝の証明されている例もありますので、カウンセリングをお受けになるのも一法でしょう。しかし、殆どの症例は原因不明ですと言ってしまえば、取り付く島もないので、少しずつ分かってきたことを簡単に述べてみましよう。
     乳癌の過半数は女性ホルモン、殊にエストロゲンと呼ばれる卵巣ホルモンで増殖が促進されます。日本人は昔から大豆やその加工品を食べてきました。西洋では家畜の餌としか考えられて居なかった大豆ですが、その中に含まれる物質が大腸の中に生息する細菌によりエクオールという物質に代謝されます。このものはエストロゲンに比較すると女性ホルモンとしての作用は非常に弱いですが、エストロゲンが乳腺細胞、乳癌細胞に作用する部位にエストロゲンよりも能率よく、かつ、強固に結合するので、乳癌細胞の増殖が抑制されます。高脂肪食、高カロリー食に起因する肥満に起因する脂肪細胞由来の腫瘍増殖促進物質、深夜まで電灯が煌々とする都市での生活による松果体より産生されるメラトニンの分泌障害による腫瘍増殖抑制効果の破綻、環境女性ホルモン等々、文明の進歩が健康に及ぼす影響なども無視出来ないでしょう。
     乳乳癌の発生原因は一つではありませんが、分かったものは一つずつ避ける努力を重ねる地道な研究をこれからも支えて行かなければなりません。
       


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