医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第10回 子宮頸がん 

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    さくら産院 院長 泉 章夫(さくら市)
     
    子宮頸がんは「ワクチン」と「検診」で予防できるがんです。HPVワクチン」は事実上中止されていますから、「子宮頸がん検診」を定期的に受けましょう。
    [原因] 子宮頸がんは、性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発症します。日本ではほぼ80%の女性がHPVに感染し、多くの女性は自己免疫力でHPVを排除し正常な細胞に戻ります。しかし、数年から十数年にわたり感染が持続する女性がいて、がんが発病することがあります。日本では毎年1万人以上が発病し、3000人以上の命が奪われています。また、20歳代から30歳代の若い女性に増加しているため、命は助かっても妊娠・出産に差し支えることがあり問題になっています。そのためHPV感染予防と細胞異常の早期発見の二つがとても大切です。
    [ワクチンを接種することでHPV感染予防が可能] 1114歳の性交渉前の女子へのHPVワクチン接種が最も有効ですが、1545歳の女性への接種も効果があります。HPVワクチンは世界120カ国以上で使われていますが、日本では注射後長期の痛みを訴える報告などがあり現在「積極的推奨」が中止されています。世界保健機関は201410月に「安全性に問題ない」と改めて宣言しましたが、厚生労働省は現在議論中で接種がほとんど行なわれていません。
    [感染したHPVの治療法はない] HPVに感染しても除去できれば、子宮頸がんにはなりません。そのためHPVを退治する治療ワクチンなどHPVに対する治療法の研究が進められていますが、残念ながら実用化には至っていません。
    [検診でがんになる前に診断することが大切] ワクチン接種が積極的に奨められないためHPV感染を予防できず、感染したHPVを治療する方法がない現状では、いつ、どんな人が子宮頸がんになるのかわかりませんから「子宮頸がん検診」が最も重要になります。
    [併用検診が望ましい] 細胞の異常な変化を調べる「細胞診」とHPV感染を調べる「HPV検査」を同時に行う「併用検診」で、ほぼ100%前がん病変を発見し、子宮頸がんを予防できます。「併用検診」はさくら市と高根沢町で30歳、35歳、40歳の集団検診で受けられます。また、矢板市と塩谷町は「併用検診」を実施していませんが、集団検診でHPV感染が疑われるASC-USという「細胞診」の結果が出た場合は、無料で「HPV検査」を行なっています。栃木県産婦人科医会塩谷郡支部は、2市2町の検診担当部署と「併用検診」の完全導入に向け努力しています。
     


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