医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第9回 胃癌の手術治療

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    国際医療福祉大学塩谷病院 消化器外科 一瀬雅典
     
     今回は、胃癌の手術治療についてのお話です。第4回のリレーコラムに紹介した「内視鏡治療」が行えるのは「胃の粘膜に限定した根の浅い早期癌」のみであり、粘膜よりも深く根を張った癌では、リンパ節への転移の可能性があるため、原則として外科医師による手術治療が行われます。「単に胃を切除するだけでなく、周辺リンパ節を切除する」のが手術治療の重要なポイントです。
     胃の切除範囲は、腫瘍が胃の出口(幽門)に近い下半分にあるときは「胃の下半分(とか2/3)の切除=幽門側胃切除術」を行いますが、腫瘍が入口(噴門)に近い上半分にかかって存在すると「胃全摘術」を行って胃を全部取ることが必要になります。「胃の上半分のみを取って下半分を残す手術=噴門側胃切除術」は限定された条件が必要なことと、わざわざ胃を残したにも関わらず術後の機能が悪くなりがちなこともあって、あまり多くは行われません。(ここは皆さんによく質問されるところです。)
     ここ数年こうした手術を、創が小さく負担の少ない「腹腔鏡下手術」で行うことが増えてきています。先々腹腔鏡下手術は普遍的術式になっていく可能性はありますが、現時点ではある程度の進行度の癌までが対象であり、オールマイティーというわけではありません。治療が体へ及ぼす侵襲度(ダメージ)でみれば‘盪覿声N→∧腔鏡下手術→3腹手術という順番になりますが、患者様の抱えた要因に応じて「確実に病気を治すという治療の本質」を見失わないように、治療全体を見渡せる熟練の外科医師とよく相談検討して最善の術式を選択していくべきでしょう。
     先日も90歳代の方が胃全摘を受け元気に退院されていきました。高齢化の時代に対応すべく私ども外科医も技術と人を磨き、相談に乗れるよう準備しております。困ったときは病院の外科医に遠慮なくご相談ください。


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