医療コラム/塩谷郡市医師会

塩谷郡市医師会のリレーコラム。毎回テーマを変えて各分野の話題をご提供

第18回 骨肉腫

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    西川整形外科 副院長 西川晋介(矢板市)
      
    骨肉腫は代表的な骨の悪性腫瘍で、腫瘍細胞が骨組織を作ることが特徴です。原発性悪性骨腫瘍の中では最も多く日本人では100万人に2人、全国で年間200人が新たに発症していると推定されています。好発年齢は10代が半数で、5歳から24歳までが三分の二を占めます。活動性が高い少年期に発症するのが特徴ですが、50代、60代の発症例もあります。性別は男性がやや多い腫瘍です。原因はまだはっきりしていません。
     発生部位は、膝関節や股関節、肩関節の周辺に発生します。症状は発生部位の腫脹と持続する痛みで、初期の痛みは激しいものではなく、徐々に増強します。スポーツをする年代なので、筋肉痛と思われ放置されやすく、痛みが強くなってから整形外科を受診して見つかることが多いです。レントゲンでは、初期は診断が難しいこともありますが、進行してくると腫瘍による骨の破壊と、骨形成を示す骨硬化像が入り乱れてみられます。骨の外に腫瘍が進展すると周囲の骨膜が持ち上げられる骨膜反応がみられます。MRI、骨シンチではより多くの情報を得るのに有用です。
     治療は骨軟部腫瘍の専門の病院で行います。現在の標準治療法は新補助化学療法(術前化学療法、手術、術後化学療法の組み合わせ)と患肢温存手術が行われます。温存できない場合は患肢切断術が行われます。予後についてですが、1980年以前は診断がつくと患肢切断を行っていましたが、肺転移例が多く、5年生存率で10%前後でした。その後化学療法の発達に伴い、現在は6075%と向上しています。肺転移例でも5070%となっており、現在では完治可能ながんと言えるでしょう。また、腫瘍用の人工関節の開発や人工骨の利用により、患肢を約80%の症例で温存できるようになっています。
     外傷の既往がないのに四肢の関節周辺が肥大した場合は、年齢に関係なく整形外科の受診をお願いします。
     


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